ABA(応用行動分析学)は自閉症の特効薬?!

フリスビーキャッチ

どうもNEIです。

今回は自閉症への支援方法の一つであるABA(応用行動分析学)について、
ABAの歴史や「なぜ自閉症に効果的なのか」、
ABAのやり方と注意点、ABAの実践例などについて書いていこうと思います。

※この記事はABAを実践していく上で、マニュアルとして使えるレベルを目標としています。

実際に私自身があるダウン症児に対して半年かけて洗濯物を運んでもらうという行動を
獲得するまでABAを実践したり、通所作業所にて自閉症の方の問題行動を
消去する際にABAを実践してきた経験からどんな年齢の、どんな障害を持つ
人であってもある程度はABAの有効性を感じております。

その中でも特別効果的といえるのは、
言葉の獲得が遅れ、周囲の空気が読めなかったり、社会的な善悪が
理解しづらい層の方
に対してABAを使用するときですね。

その理由についても下で述べていますので、是非お目通し頂き日頃の支援の一助と
してご活用下さい。

 

ABA(応用行動分析学とは)

 

今回のテーマであるABAとは何かという話なんですが、
これはApplied Behavior Analysisの頭文字を取ったもので応用行動分析学というものです。

障害というものは、色んな切り口で支援することができますが、
・医者は疾患を治療したり、症状を緩和するという切り口で見ていますよね。
同じように、
・作業療法士は歩く、食べる、座る、など基本動作機能の回復という切り口でみています。
・社会福祉士の見方としては障害は環境に依存しており、その環境を変化させることが
一つの目標となります。

まあこれについては福祉について学んでいれば耳にタコが出来るくらい聴いていると
思いますのでここではさらっと触れる程度にしておきます。

医療なら「手で掴んでしまう衝動性を薬で緩和すればいい」とか
作業療法なら「摘まむ能力を獲得もしくは回復させればいい」とか
社会福祉士から見れば「インドに行けばいい(笑)」は冗談ですが、そんな回答例が期待出来るわけです。

ABAの考え方では障害を持った方の「環境と行動」の2点に焦点を当てます。
例えば、「家の食卓で家族と食事をするとき、食事を手で掴んで食べてしまう」のが問題だとするならば、
「家の食卓」「家族と一緒に」というような環境下において、
箸を使って食べられるようになればいい

と考えるわけです。

「学校ではちゃんと箸を使ってるんだけどなぁ・・・」とか、
「先生と一緒のときは手を使ったりしないんだけどなぁ・・・」とかいうことありますよね。

ABAでは、「“家の食卓で” “家族と一緒に”食事をするときに手を使って食べると何か良いことがある」
もしくは「何か良くないことを避けられる」から、
手を使って食べるんだ、と考えるわけです。

具体的なアプローチについてはまた後ほど解説していきます。

ABAの歴史と実効性

『ABAの父』BFスキナー氏

ABAの元になったのは行動分析学というものです。
B・Fスキナー(1904-1990)はこの理論により20世紀の心理学に大きな影響を与えました。
彼は『自由意志』を否定したんです。"次の行動は過去の行動の結果によって決まる"と言い切りました。

ここで自由意志があるのかないのかの話をするつもりはありません。要は自由意志を否定することで『行動は分析可能になった』わけです。
言い換えると、
「なぜこの行動をとるのか」を深く細かく掘り下げられるようになったわけです。

「いや、彼の自由意志で行動してるだけやろ!」ってなったら話終わっちゃいますよね。考える場合には都合はいいです。しかしながらこの前提は利便性によるものなのであくまでも仮定ということは私たち支援者は決して忘れてはいけません。これだけはおことわりしておきます。

行動分析学における行動は外発的動機付けにより起こるとされています。
外発的動機付けとは、環境や環境の変化が動機となって私たちの行動が起こされているんですよー、という意味ですね。

反対に内発的動機付けに関しても研究はなされています。エドワード・L・Deci によると、外発的動機付けがない場面での行動は内発的動機付けによるものだということです。
内発的動機付けにあたるものとして

・「有能感」・・・その行動を通して、自分には能力があるんだ、という心地よさ
・「自己決定感」・・・自分で「これをやるんだ」と決められることによる楽しさ

が挙げられています。

デシ氏はむしろ外発的動機付け(会社でいう報酬アップなど)が内発的動機付けを下げるという見方すらしています。
内発的動機付けの考え方は、外発的動機付けに偏ってきている現代社会に生まれるべくして生まれたアンチテーゼなんですね。

現代科学は利便性を優先させ、ある前提(ここでは『自由意志は存在しない』)を基にして体系化しています。なので、常にアンチテーゼは存在するわけです。

(この辺の現代科学観については小林秀雄先生なんかのお話を今生きる者として抑えておくといいと思います。また小林秀雄レビューでも書きたいと思ってますのでお楽しみに。)

少し話がそれてきたので元に戻しますが、
ABAはBA(Behavior Analysis)=行動分析学を色んなことに応用(Apply)しようぜ!っていうだけの話です(笑)。

自閉症児への応用とその効果

そしてABAを自閉症の児童に応用させたのがUCLAのロバート博士が1987年に行なった研究です。

3行にまとめると、
『2〜3歳の児童に対してABAを使って週40時間療育をしたら半分くらいの児童がIQ80程度の成績で小学一年を終えられたよー』

ということですね。詳細は調べてもらえればすぐ出てきますので気になる方はご参照ください。
ちなみに、ABAを使用していない方のグループではIQ80程度までいけたのは1人か2人でした。

その後も研究が進められ、時間数にして

週一回の専門家の療育とアドバイス+家庭内での毎日一時間程度の療育

でもある程度効果あるよ、ということが実証されました。これが現在の療育サービスのあり方の根拠となっています。

ABAのアプローチについて

フリスビーキャッチ

フリスビーキャッチで撫でてもらえるワン

ではここからは具体的にABAをどう導入していくのかについてお話していきます。

その前に行動分析をより分かりやすくするために①ABC分析について、及び、
重要な考え方である②オペラント行動とレスポンデント行動についてお話しします。

ABC分析とは

ABAとかABCとかなんやねん、というお気持ちをお察しした上でABC分析についてお話していきます。

ABAでは、今起こっている問題行動などを噛み砕いて理解するためにABC分析という手法を用います

Atecedent(状況)+ Behavior(行動)= Consequence(結果)

のABCです。
次のオペラントとレスポンデントの項目でこの辺めっちゃ詳しく解説しますので、
状況行動結果に分けて考えるんだな、とだけ理解しておいて下さい。

オペラント行動とレスポンデント行動

環境と行動を結びつけて考えるのが行動分析学と言いました。

ところで環境には自分の行動で変化するものとしないものがありますよね。

しないものは天気やら場所やらで、するものは人からの評価や得られる報酬の質や量など、
他にもたくさんあります。

自分の行動云々では変化することのない環境に影響される行動をレスポンデント行動
自分の行動によって変化した環境に影響される行動をオペラント行動と言います。

レスポンデント行動に関しては純粋に場所を変えたり、対応する人を変えたり、クラスを変えたりといったアプローチをします。

オペラント行動について学ぶと意外と見落としがちですが、
レスポンデント行動は凄く重要です。
常に問題行動をレスポンデントかオペラントの両面から分析し、適切なアプローチを取る必要があります。

ただまあレスポンデントの方はアプローチが環境変えるだけで単純なので、説明比重はどうしてもオペラント行動に寄りがちなんですよね。

で、オペラント行動の話になるわけですが、

パブロフの犬はご存知ですよね?

『犬のご飯の前にベル鳴らし続けたらご飯なくてもベル鳴らすだけでヨダレ出るようになった』

っていう例のやつです。

ちなみにこれは行動ではなく反応なのでオペラントとは違います。ただ、これからお話しするオペラント条件づけのアプローチのニュアンスはこれに近いです。

オペラント行動とは先ほどもお伝えした通り、『行動の結果起こったことに依存する行動』のことです。

そしてオペラント条件づけというのは、ある行動の結果を意図的にコントロールすることで行動の動機を強めたり弱めたりすることを言います。

ここでスキナー箱について説明します。

スキナー箱(別名オペラント箱)とはスキナーが作り出した、オペラント条件付けの実験用の
箱のことです。
仕組みは簡単で、箱に入れられたネズミやハトがスイッチを押すと餌が与えられる仕組みです。

スキナー箱

スキナー箱のイメージ(Wikipedeaより)

心理学の研究室には大抵この装置があるそうです。

スイッチを押す⇒餌が出る

をくり返すことで、
ネズミは「スイッチを押したから、餌が出たんだな」ということを学習し、
スイッチを押すことと餌が出ることを結びつけるというワケですね。

このように、自分の行動(スイッチを押す)の結果(餌が出る)によって
自分の行動を強めたり弱めたりすることをオペラント行動と呼ぶわけですね。
当然餌が出なくなれば行動は弱まっていきます。

以上、レスポンデント行動とオペラント行動の概要でした。

ABAのアプローチ方法

それでは上記を踏まえた上で実際にどのようにアプローチをかけていくのかについてお話していきます。

分かりやすくするために1つ例をあげますね。

家でご飯を食べるとき、物凄くスピードが遅いから叱る

というのにしましょう。

ABAではまずどの要素が行動に影響を与えているか分析、洞察することが必要です。

場所?時間帯?人?人の反応?感覚刺激?

ざっとあげるだけでもキリがないくらい、環境因子がありますよね。

大事なのは仮で決めたら最後までブレないことです。

『場所のせいやと思ってたけど、やっぱこっちの反応のせいなんかな??』

とかいう迷いが泡のようにわいてきます。しかし、決めた支援がある程度効果を確認できるフェーズに入るまでは絶対ブレてはいけません。
色んなことをいっぺんに試すとこちらも相手も混乱し、下手すれば信頼関係を損ねます。

正解は無数にある。自分はその中の1つにかけるんや!

というくらいの意気込みでいきましょう。

で、

『こちらの反応』が行動の動機となっているかもしれない、と仮定したとします。

先ほどのABCに当てはめてみましょう。

A: 家での食事場面
B: ごはんをゆっくり食べる
C: 叱られる

となります。

Aはまず無視します。要員として仮定したのはCの『相手の反応』になります。

ABAのアプローチとしては、①環境や結果と行動を切り離すことにより行動を弱める“消去”
②環境と行動の関係性を強めることによる“強化”を使い分けていきます。
それぞれ負の消去、正の消去、負の強化、正の強化と分かれます。

そうです。ややこいです(笑)。
以下でそれぞれについて説明していきますが、
まずは正の方からしっかり「消去」と「強化」を実践していき考え方を理解するのがオススメですね。

正の強化、負の強化。正の消去、負の消去。

まず、強化とは何の強化なのか。

B: 行動の強化です。

「ありがとう」と御礼が言える行動は、増やしたいですよね。

このときは『強化』します。

逆に噛み付いてくるという行動は減らしたい。

そのときは「消去」していきます。

そして正と負は何に対して正負なのか。

C: 結果のコントロール方向が正か負か、です。

行動に対してアクションを起こす方向が正。
アクションを減らす or 無くす方向が負。

です。つまり、

「ありがとう」と言った後、褒めたら正。
「ありがとう」と言った後、反応しなければ負。

「噛み付いた」後、叱ったら正。
「噛み付いた」後、反応しなければ負。

褒める、叱る、というのは意図的なアクションですよね。これは正の方向。

反応しないというのはアクションをしない方向です。それが負の方向。

ここまででなんとなく分かったと思うんですが、確認のためノートか何かに書いて整理してみてください。意外と分かってないんで。

それでは、さっきのご飯をゆっくり食べてしまうヤツに当てはめて考えてみて下さい。

どのアプローチがいいでしょうか?

正の強化?
負の強化?
正の消去?
負の消去?

30秒考えてからスクロールして下さい。

 

 

 

 

 

 

そうです。負の消去です。

分かりましたか?(笑)

まず行動は「ゆっくり食べる」なのでイタリアとかスローフードな国ならともかく、早く食べて欲しいです。なので、「ゆっくり食べる」というのは減らしたい。なので消去。

そして、この場合支援者の方は「叱って」いるのですでにアクションしています。
この「叱る」をやめてみるというアプローチなので負。

さて、ここで疑問が出てきます。

叱ってるのになんで行動が無くならないの??

叱って行動が増えるということはよくあります。この場合注目欲求というのが原因であることが多いです。

褒められるにしろ叱られるにしろ、自分に注目してもらえてるということそのものが、ご褒美になってるわけですね。

ちなみに、ご褒美など、行動を強化するための働きかけを『強化子』
叱るなど、行動を消去するための働きかけを『罰』と呼びます。

ABAを実施する際の注意点

以上、ABAのアプローチ方法についてでした。ここからはABAで支援していく上での注意点について述べていきます。

負の方向で起こる"バースト"現象

ドラゴンボールの爆発

バーストしたからといって慌てない

上の例で言うと、『叱られる』ことが注目欲求を満たし良からぬ行動を強化していました。

そして、負の消去により反応することをやめていきます。

そのとき、支援される方としては今まで『ゆっくり食べる』ことで注目してもらえたのに
急に反応がなくなるわけです。

自然な反応として、どうするでしょうか?

もっとめっちゃゆっくり食べますよね?

この、一時的な行動の強化をバーストと言います。爆発みたいなニュアンスです。

このバーストに恐れをなして、ABAのアプローチを弱めたり、中断したりすることがあります。

やると決めたからには恐れず突き進みましょう。

いつまで試すのかをしっかり最初にきめておいて、後はブレずに支援を貫く。

これが肝要です。

バーストっていうのがあるんや、と知っておくだけでも負担はかなり軽減されますので、おさえておいてください。

支援の方向性を統一する重要性

バーストが起こったときも、もちろんそうですが支援を最後まで貫くことと、

関わる支援者全員が同じ方向を向いていること
ABAのアプローチを成功させるために、めちゃめちゃ大事です。

『ゆっくり食べる』例で言えば、お母さんが頑張って反応しないようにしてるのに、
お父さんが我慢できずについ叱ってしまった。

みたいなことになると、一生バースト状態です。

支援する側の意思疎通はめちゃくちゃ大事やということです。

自閉症になぜABAが有効なの?!

さて最後になりましたが、なぜABAが健常者の教育などよりも自閉症の療育によく用いられているのかという疑問に答えたいと思います。

ある程度社会性が伴ってくると、強化子や罰は、自分で設定できるわけです。

スポーツ選手なんかで例えるなら、

『ご褒美をもらえるから』オリンピックでメダルを目指すのではなく
『何か目標に向かって仲間と協力しながら頑張る喜びを知っているから』メダルを目指す。

しかし社会性が身につけられていないと、単純に与えられる罰や強化子に行動を左右されやすいんです。

人の評価や、協力の喜び、期待に応えたい、社会のルールやマナーなど。

そういった報酬や制限に疎いために直接的な食べ物だったり、抱きしめてもらえたり、怒鳴られたり、オヤツを抜かれたり、といった報酬、罰に頼る比重が増すんです。

2〜3歳児などの幼少期のABA療育が効果大なのもそう考えると頷けますよね。
歳を重ねるにつれて社会性が身についていたり、自分なりの報酬系が確立されてしまうために直接的な強化子や罰が効かなくなってくる。

いわば自閉症の人や幼い子どもは社会的に幼いからこそ、与えられた動機付けに頼るしかないわけです。

ただ、それが一概に悪いことなのか?

私はそうは思いません。

何かが出来て人に認められることで、自信がつき、次のチャレンジに向かう気力がわいてくる。

そういういい循環を起こす最初の起爆剤としてABAを用いる。

そんなビジョンを支援者側がしっかり持っていれば問題ないのではないかと思います。

まとめ

ではまとめです。

『ABAとは?』では
・ABAとは、行動分析学を諸問題に応用していこうという動きであり、
・行動分析学とは環境と行動の2つに着目して行動の理由を分析できるとする考え方であり
・アンチテーゼとして内発的動機付けの考え方も出てきている。

『ABAの歴史』では
・BFスキナーが提唱した。
・自閉症の2〜3歳児を対象とする実験などから有効性を確認できた。
・その後の研究から週一回のセラピスト療育セッション+家庭での毎日1時間の療育で有意な効果が出ることが分かってきた。

『ABAのアプローチ』では
・ABC分析とはA状況、B行動、C結果に分けて行動が何を理由に起こっているのか考えるやり方。
・レスポンデント行動は行動に左右されない環境に基づき、オペラント行動は行動の結果生じた変化に基づく。
・強化とは行動の増大、消去とは行動の減少、正負の方向は行動の結果をどう変化させるかで決まり、アクションすれば正。アクションしなければ負。

『ABAの導入に関する注意点』では
・負の方向で支援するときに発生するバースト。バーストしてもブレずに支援を貫こう。
・支援者間での意思統一がないと混乱してしまう。

『なぜ自閉症にABA?』では
・社会性の発達により自分で強化と罰を設定できるから社会性が発達していない人に対して有効。
・自信をつけてよい循環を起こすためにABAを使おう。

ということをお伝えしました。

今回はかなり網羅的かつ実践的な内容でお送りしてきました。

読むだけでもABAにかなりの知見を得られたと思いますが、

知識はインプットとアウトプットのバランスを取ることで吸収できます。

早速ABAを用いた支援してみたり、誰かに解説してみたりして確実に自分のものにして下さい。

 

今回は以上です。お読みいただきありがとうございました。

 

 




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