識字障害の文字の捉え方って?

識字障害の「ゲシュタルト生成」について知ることで、発達障害のことをもっと知ろう!

学習障害の人の中には文字の認識が苦手な人がいます。彼らが書いた文字を見てみると、とても不思議な形をしているんですよね。

今日は、なぜそういった間違い方になるのか?学習障害の人の文字の見方は一体どうなっているのか?ということを考えたいと思います。

なぜ識字障害は文字を正しく書けないのか?

識字障害の人は文字をうまく認識することができない障害で、発達障害のうちの一つです。

識字障害の人を僕も施設勤めの時に何度も見てきました。なんか、平仮名や英語や漢字を書いてもらうと、不思議な間違え方をされるんですよね。

文字の裏返りや濁音化

その間違え方の例ですが、

  • 「さ」というひらがなを「ち」と鏡文字にしてしまう。
  • 「は」が「ぱ(半濁音)」や「ば(濁音)」に化けてしまう。
  • 「ラ」の上の棒線「ー」だけが抜けて「フ」になってしまう。

などなど。

健常児や健常者はそんな間違い方しないだろう、というような独特なミスを頻繁にしてしまうわけです。

そもそも認識の仕方からして違うのでは?

そこで当時支援員だった僕が感じたのは、間違いを正すことなんかよりも、なぜこんな間違い方をしてしまうんだろう?という興味でした。

その後発達障害のことを10年間学び続けて、ある一つの考えに至りました。

そもそも、文字の認識の仕方から違うのでは?

という結構シンプルな答えです。

ゲシュタルトをうまく作れないことが原因!

では一体・・・識字障害の人たちはどんな風に文字を認識しているというのでしょうか?

局所的で数珠繋ぎ的な把握方法

上記のようなことが起こるのは、結論を言えば、識字障害の人の文字の把握の仕方が局所的かつ数珠つなぎ的だからです。

つまり、

文字を全体ではなく、部分で見て、部分で記憶し、それを数珠繋ぎのような連想形式で把握している・・・

だから、普通の人はしないような特殊な間違い方になってしまうんです。

局所的・数珠繋ぎ的覚え方というのは、上の図で見ると、「努」という字を3つの部位に分割し、

①女

②又

③力

という順番で思い出していくような感じです。

なので、間違えるタイミングも①、②、③の3回あるわけですね。

なので、又を叉にしてしまったり、力(ちから)を刀(かたな)にしてしまったりといったミスをしてしまう可能性がある。

健常者は文字をゲシュタルトで理解している

一方で、識字障害ではない人たち(=健常者その他)は文字のゲシュタルトというものをうまく作り、そのゲシュタルトに頼って文字を認識しています。

「ゲシュタルト崩壊」ってどこかで聞いたことがあると思うんですが、

文字をずっと繰り返して書き続けたり、同じ文字を長時間見つめ続けていると「あれ、これってこんな漢字だったっけ??」

と、だんだんよくわからなくなってくる現象のことです。

図にする意味があったのかわかりませんけど、まぁ雰囲気で覚えてるんですよね。

だからわざわざ女の次が又で、又の次が力だったよな・・みたいなことは全く考えることなく文字を書くことができます。

うまく文字のゲシュタルトを作れないから変に間違える

つまり、文字の全体的かつ雰囲気で把握するための機能=ゲシュタルトを作り出す機能ということになります。

しかし、識字障害の人たちはそのゲシュタルトをうまく作り出せないために

局所的に、数珠繋ぎ的に文字を認識せざるを得なくなってしまうんです。

そう考えると、

「ち」が「さ」になってしまったりするのは、下の部分が最後カーブすることまでは記憶できているけど、「右にカーブするんだっけ?左にカーブするんだっけ?」と迷った結果、間違ってしまったと考えられますし

濁音の点々や半濁音の◯が文字に付いたりしてしまうのは、自分の発音を頼りに文字を数珠繋ぎ的に覚えていて、「は」を普段「ぱ」と発音してしまっているために「ぱ」と発音通りに書いてしまっているんだ、という推測ができます。

ラをフにしてしまうのは「ラ」を全体の形として捉えず、「一」と「フ」に分割して捉えているのが分かりやすい例ですよね。

少し半濁音・濁音の例は、言語獲得機能の方の特性(脳で意識した単語を発音する機能の欠陥)も絡んでいるので、ややこしい推察になりましたが、まぁそういう考え方もあるのかくらいに理解しておいていただければ。

ゲシュタルトを生成し維持することの広範囲さ

さて、識字障害の人の文字認識について、ゲシュタルトがうまく作れないんじゃないかという説についてお伝えしてきました。

文字だけにゲシュタルトが必要なわけではない

しかし、世の中にはゲシュタルトを作り、それを活用する必要があることがたくさんありますよね。

今回は識字障害がわかりやすいので取り上げましたが、発達障害の特徴としてもゲシュタルトがうまく作れないというのは顕著に見られます。

例えば、

  • 人の顔(相貌認識)
  • 絵の描き方[画像]
  • 地図の理解
  • スポーツのフォーム

などがありますね。

相貌認識の障害も発達障害と関連のある障害の一つです。

僕らは黒人や白人はなかなか見分けづらいですが、東洋人の顔はすぐに見分けられます。これは東洋人顔のゲシュタルトを形成しているためです。

絵を描くときにも、リンゴを描くとして、全体をバランス良く描けるのは大体のリンゴの形を全体として捉えるゲシュタルトができているからで、発達障害の人の場合、例えばヘタから描き始めてうまく全体が紙に収まらないなんてことが起こりやすかったりします。

地図を見て目的地に行く際には、地図を全体として捉える力が少ないために「右手にセブンイレブンがあるから、左に曲がればいいんだな」なんていうことを、地図を逆さにしたり右や左に90度回転させたりしながら確認しないとわかりません。

スポーツのフォーム・・・例えばゴルフなら、腰の位置を注意されたら腰の位置ばかり気になり頭がおかしな位置になってしまったり、クラブの握り方がおかしくなってしまったりして、全体的なバランスがすぐに崩れがちです。

いろんな分野で必要とされるゲシュタルト

このように、いろんな分野においてゲシュタルトの生成がうまくいかないと支障が出やすいことが分かります。

重要な補足:

反復トレーニングによって、ゲシュタルトを作るのが不得意であっても補うことができるために、それぞれ熟練度に応じて全体性を捉えられるようになっていく傾向があります。

ゲシュタルトで物事を捉えられない不利さと有利さ

今回は識字障害から考える「ゲシュタルト作れない特性」に付いてお話しさせていただきました。

識字障害含め、発達障害の人は

全体的に、雰囲気で物事を捉えるっていうのが難しい。

ということが最も重要なポイントです。

こういった特性を持っていると、不便なことはとても多いんですがその一方で、ゲシュタルトを作ってしまうのは、脳のサボり機能であるとも言えます。

パソコンでいうと、ショートカットを作成するイメージです。やたら何回も繰り返して使うアプリはデスクトップに置いておいた方が楽ですよね。

ゲシュタルトも、何回も認識するときに楽なように全体的な雰囲気を維持しておいてくれるわけです。

「ゲシュタルトがうまく作れないことにメリットなんてあるの?」

と思うかもしれません。それが、あるんですね。ゲシュタルトが出来にくいために、

  • 偏見や差別が少なくなる。
  • 斬新な見方や切り口。
  • 誰も気づかないことに気づける。
  • 世界や組織に染まりにくい。

というようなメリットを享受できるんです。

差別や偏見、決めつけなんていうのは人間の悪習の最たるものですからね。

ゲシュタルトがうまく作れないような人が、これからきっと世の中を変えていく人であると僕は信じています。

今回の記事がそういった特性を生かしていくために、より発達障害を詳しく知り、

自分の強みを生かすための道を模索するきっかけになることを祈っております。

今回は以上です。

ではまた次回。

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