「ADHDや自閉症スペクトラム性障害(=ASD)など、発達障害の子どもは癇癪を起こしやすい?」
この記事では、なぜ発達障害の子が癇癪≒パニックを起こしやすいのか?ということとその原因について紹介し、また、そういう状態にならないための対策を紹介していきます。
児童保護施設に勤めていた時も、発達障害(特にADHD)の子は思い通りにならないと暴れ出す子が多かったんですが、
発達障害の人の特徴を知ることで、接し方のヒントを掴んでもらえたらと思います。
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ADHDな僕自身、喧嘩っ早くてすぐに手を出してしまった子ども時代でした・・・
発達障害の特徴について知っておくことで、子どもの癇癪はかなり予防することができます。
癇癪と虐待の密接な関係とは?
癇癪の話に入る前に、自分の職場での経験から
虐待され、保護に至る児童に発達障害の傾向がある子供が多いのはナゼなのか?
についてお話ししたいんですね。
私は被虐待児童を保護する施設で働いていたんですが、そこに来る子どもは発達障害傾向のある子が多かったんですね(割合にして3~4割くらい)。
発達障害と虐待はどう関係あるんやろう?
って私はずっと思ってたんですが、まず目が行くのは「虐待された子ども」の中でも、特に発達障害のある子が受けている暴力が「あまりに激しい」という点です。あまりバイオレンスなことを書いてもアレなんで、詳しくは語りませんが。

発達障害のある子の父親または母親は、発達障害の傾向があることが非常に多い(というか私はこのブログでは敢えて発達障害の遺伝する確率を100%と訴えておりますが)、その発達障害傾向のある子どもの親御さんの虐待に対し、
「そこまでやるか・・・」
と思ったことは1回や2回じゃありません。
では、発達障害の人は常軌を逸した、正気の沙汰ではない、サイコパスなんでしょうか?もちろん、そうではありません。
その理由こそ、今回のテーマ「癇癪」が起こる理由と関係があるんです。
発達障害の子どもが癇癪を起こす原因
では、「癇癪」がなぜ起こってしまうのかについて話を進めていきたいんですが、その話をする前に、癇癪に関係する「発達障害の人の重要な特性」があるので、それについて触れておきます。
ストレスの把握
発達障害の人にはストレスの感覚を認知できない特性があります。
「最近、なんかストレスたまってるのかわからないけど、イライラするわ~」
みたいな会話を聞いたことがあると思うんですが、こういう風に、
自分のストレスに気づくことができる
っていうのは一つの能力です。「1~10のストレスレベルがあるとしたら、今のストレスレベルは8や。そろそろストレス発散できることしないと・・・」というように、自分のストレスの溜まり具合っていうのが把握できれば、手の打ちようがあるわけです。
しかし、
・発達障害のある人はその「自分のストレスのたまり具合」を、健常者に比べて認識しづらい
という傾向が全員ではないですが、あります。
私は重度の発達障害者の支援をやってきたんですが、
重度の人たちは「さっきまでニコニコしていたのに、急にガラスを割りに行ったり」します。
周囲に大きな損害をおよぼす行動を、「強度行動障害」と呼ぶんですがそういう人たちの支援では常に心が休まる暇がありません。いつ何を壊したり、叩いたりするかが読めないからです。
しかし、私たち支援員が行動を読めないのと同様かそれ以上に、重度の人たちは「自分が爆発するタイミングがわからない」んじゃないかと思います。
それはなぜかと言えば、自分のストレスのたまり具合が全く把握できないからです。
重度の発達障害のある人たちに言えることは、少なからず軽度であったりグレーゾーンの人にも同じような傾向・特性があると考えてもいいでしょう。
つまり、
・発達障害の人の中には「自分のストレスのたまり具合」を把握できない人たちがいる
ということですね。
限界を越えた時に癇癪が起こる

例を出すならば、膨らみ続ける風船をリレーのように渡し続けるゲームがありますよね。あのゲームでいうと、
・健常者「大分風船ふくらんできたからそろそろ爆発する!早く渡さないと!!」
・発達障害のある人「風船がどれくらいふくらんでるか見えない。まだいけるんじゃないか??」
というような感じです。ふくらみ具合がわからないから、危機感もほぼないわけですね。爆発してはじめて、「あ、風船ふくらんでたんだ・・・」と気づくんです。
健常者は限界がわかるために、ストレスを小出しにできるけど、発達障害者は限界もたまり具合もわからないために、一気に爆発してしまう、というわけですね。
火山の噴火に例えると、健常者はダラダラと溶岩を垂れ流すキラウェア火山、発達障害者はドッカーンと爆発する桜島
みたいな感じです。

気持ちを言葉にできない
また、発達障害の特性として、言語能力が発達しにくいというものがあります。
しんどい時や、モヤモヤしているときに「どうしたの?」「大丈夫?」というように
言葉をたくさんかけられると、答えられないもどかしさが爆発してしまうことがあります。
発達障害の人にとって、しんどくてもしんどいと言葉にすることが難しいということです。
癇癪を事前に防ぐためのたった1つの対策
発達障害のある人は、ストレスのたまり具合を把握できないために、突然爆発して、「癇癪」を起こしてしまう、ということについて発達障害の特性を切り口にしてお伝えしました。
発達障害の重度の方への支援時によくあった「突然の問題行動」について触れ、発達障害の特性として「ストレスのたまり具合」が把握できないために「癇癪」が起こるまで自分のストレスがたまっていることに気づかないのではないか、ということをお話ししました。
では、癇癪は防ぎようがないのか?ということなんですが、ストレスとしては把握できないのかもしれませんが何かしらの前兆はあるはずなんですよね。
この感覚っていうのは人それぞれだと思いますが、たとえば、
・背中が丸くなってくる
・首が回らなくなってくる
・まぶたが落ちてくる
・肩がこりがちになる
・人と会いたくなくてこもりがちになる
・コンビニで飲み物買うのが嫌で自販機に行きたくなる
・唾液が少なくなって口の中が乾きやすい
・なんかわからんけど心がざわざわする
支援してきた利用者さんにしろ、自分自身にしろ、こんなときにストレスがたまっていることが、経験上多いです。
こういう前兆には、日ごろから感覚を研ぎ澄ませて、自分の感覚を信じていないとなかなか気づくことができません。
インターネットでこれらの状態を調べたって、情報はまったく出てきませんし、他の誰かに相談してみたところで
「気のせいでしょ」
という感じで、一蹴されます。
「いや、気のせいなんかじゃない!」
と胸を張って言えるかどうかが非常に重要なポイントです。その自分独自の感覚を胸張って信じることができていれば、適切なタイミングで休んだり、ストレス解消したりということができるはずです。
まだ小さな子どもの場合は、「うちの子はこういうときに癇癪を起こし易い」という判断を親御さんが自信を持って管理してあげることで、癇癪は明らかに減るはずです。
それは周りの親御さんに相談したところで、同じような子が周りにいることは少ないので、あまり他の親御さんの意見は参考にならなかったりします。
あとは、やはり自分の好きなことに集中できる時間は定期的に確保するのがよいと思います。
「きいたよね、はやめのパ〇ロン」ではないですけど、爆発の兆候が感じにくいからこそ早め早めにストレスを発散させていく意識が必要です。
今回は以上です。お読みいただきありがとうございました。

ストレスの兆候を見逃さず、本人から何かを表現するのを気長に待ってあげるのがコツです。
アートや楽器、歌や水泳など言葉以外の本人が好きなことで発散できると効果的です。
感情がその時には現れず、時間差でやってくるタイプの人へのオススメ記事です。
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